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基礎知識
基礎知識
- Q1. ボイラーってなに?
- Q2. 圧力容器ってなに?
- Q3. 圧力容器はなぜ第一種と第二種に区別されているの?
- Q4. ボイラーや圧力容器は誰でも造っていいの?
- Q5. ボイラーや圧力容器の構造に関する基準はあるの?
- Q6. ボイラーは誰でも取り扱っていいの?
- Q7. 圧力容器は誰でも取り扱っていいの?
- Q8. ボイラー取扱作業主任者の選任はどうすればいいの?また、労働基準監督署への届出は必要なの?
- Q9. 圧力容器は取扱作業主任者の選任はどうすればいいの?また、労働基準監督署への届出は必要なの?
- Q10. ボイラーや圧力容器の整備は誰でもできるの?
- Q11. ボイラーの種類
Q1.ボイラーってなに?
ボイラーというと、普段、街で目にするようなものではないので、その形や何をするための機械なのかはイメージしにくいかと思いますが、ボイラー(Boiler)の語源であろう英語のboil(沸騰する)から考えてみると、水(液体)に熱を加え、温水、蒸気を作る機械だろうというふうに想像できるのではないかと思います。
温水を作るものを温水ボイラー、蒸気を作るものを蒸気ボイラーといいます。
では、その温水や蒸気をどのように利用しているかというと、例えば、身近なものではお風呂の給湯、産業用としては蒸留、加熱、滅菌などを行う機械の熱源として利用されています。
やかんでも温水はできますが、では、『ボイラー』とはどういうものなのか、それは、次の3つの要件に当てはまるものとして定義されています。
- 火気、高温ガス又は電気を熱源とするもの。
- 水又は熱媒を加熱して蒸気又は温水を作る装置であること。
- 蒸気又は温水を他に供給する装置であること。
ボイラーの種類には丸ボイラー、水管ボイラーなどがあります。
なお、労働安全衛生法においては、ボイラーの規模等(伝熱面積、圧力など)の違いにより『ボイラー』『小型ボイラー』に区別され、小型ボイラーよりもさらに規模が小さい『簡易ボイラー』としています。
Q2.圧力容器ってなに?
簡単に言うと、内部に圧力を保有する容器のことです。
このように言うと、漠然としすぎていてよくわかりませんが、労働安全衛生法では圧力容器の定義を明らかにし、圧力容器は、第一種圧力容器、小型圧力容器、第二種圧力容器、簡易容器に区分されており、それぞれに対する規制が定められています。
Q3.圧力容器はなぜ第一種と第二種に区別されているの?
労働安全衛生法においては、圧力容器を第一種圧力容器と第二種圧力容器に分けています。
その定義は労働安全衛生法施行令第1条で示されていますが、説明をわかりやすくするために、単純に第一種圧力容器とは大気圧における沸点を超える温度の液体(以下、「飽和液」という)を保有する容器、第二種圧力容器とは気体を保有する容器とします。
さて、気体も液体も流体ですが、その性質から見ると気体は圧縮性流体、液体は非圧縮性流体です。つまり、気体は圧力を加えると体積が変化しやすく、液体は圧力を加えても体積は余り変化しません。例えば、気体又は液体で満たされている(ゲージ圧力は0MPa)内容積1m3の容器のゲージ圧を0.0MPaから0.1MPa上げようと気体又は液体を注入するとき、必要な気体の量と液体の量には格段の差があります。(気体の場合は1m3必要ですが、液体は少しで済みます。)
これは、液体で満たされている容器が仮に破裂したとしても、その内容物の噴出量が小さく、被害が小さくて済むことを意味し、このため、液圧がかかっているのみの容器は規制されていませんが、気圧がかかっている容器は規制されています。
しかし、液圧のみがかかっている容器でも、その液体が飽和液である場合は、飽和液は大気圧以上の圧力で液体になっているだけで大気圧では気体になりますので、仮に容器が破裂すると内圧が下がり、飽和液が蒸気となり体積が急膨張するため、その被害は甚大になります。
このため、内部に沸点を超える温度の液体を保有する第一種圧力容器は規制の対象とされているのです。
Q4.ボイラーや圧力容器は誰でも造っていいの?
ボイラー又は第一種圧力容器を製造しようとする場合は、労働安全衛生法に基づき製造しようとするボイラー又は第一種圧力容器について所轄都道府県労働局長の許可を受けなければなりません。
なお、小型ボイラー、小型圧力容器、第二種圧力容器、簡易ボイラー、簡易容器については、この製造許可は必要ありません。
Q5.ボイラーや圧力容器の構造に関する基準はあるの?
ボイラーや圧力容器の構造等については、労働安全衛生法に基づく構造規格として告示で定められています。
種類 | 構造規格 |
ボイラー | ボイラー構造規格 |
第一種圧力容器 | 第一種圧力容器構造規格 |
第二種圧力容器 | 第二種圧力容器構造規格 |
小型ボイラー | 小型ボイラー及び小型圧力容器構造規格 |
小型圧力容器 | |
簡易ボイラー | 簡易ボイラー等構造規格 |
簡易容器 |
Q6.ボイラーは誰でも取り扱っていいの?
ボイラーの取扱いについては、労働安全衛生法により次のように定められています。
(1)ボイラーは、ボイラー技士の免許を受けた者でないと取り扱うことができないとされています。(ボイラー及び圧力容器安全規則第23条)
また、ボイラー取扱作業主任者は、特級、一級又は二級ボイラー技士免許を受けた者から選任しなければならないと規定されています。
(ボイラー及び圧力容器安全規則第24条)【Q8参照】
ただし、次のボイラー(通称として、「小規模ボイラー」と呼ばれています)については、ボイラー技士のほかにボイラー取扱技能講習修了した者が取り扱うことができます。
(労働安全衛生法施行令第20条第5号)【小規模ボイラー】
イ 胴の内径が750mm以下で、かつ、その長さが1300mm以下の蒸気ボイラー
ロ 伝熱面積が3平方メートル以下の蒸気ボイラー
ハ 伝熱面積が14平方メートル以下の温水ボイラー
ニ 伝熱面積が30平方メートル以下の貫流ボイラー
(気水分離器を有するものにあっては、当該気水分離器の内径が400mm以下でかつ、その内容積が0.4立方メートル以下のものに限る。)
注意!
小規模ボイラーは、法令上あくまで『ボイラー』であり、『小型ボイラー』ではありません。
(2)小型ボイラーの取扱いについては、必ずしもボイラー技士あるいはボイラー取扱技能講習修了者でなくてもよく、特別教育を受けた者でも取り扱うことができることになっています。(ボイラー及び圧力容器安全規則第92条)
なお、当該特別教育の科目ごとの範囲及び教育時間は、厚生労働省より昭和47年9月30日労働省告示第115条(小型ボイラー取扱業務特別教育規程)で示されています。
(3)簡易ボイラーについては、取扱いの資格は特に規定されていません。
Q7.圧力容器は誰でも取り扱っていいの?
圧力容器を取り扱う者の制限については、特に規定がありません。
ただし、第一種圧力容器の取扱作業主任者の選任を要する場合には、定められた要件(資格)を満たす者の中から取扱作業主任者を選任しなければなりません。【Q9参照】
Q8.ボイラー取扱作業主任者の選任はどうすればいいの?また、労働基準監督署への届出は必要なの?
ボイラー取扱作業主任者の選任については、取り扱うボイラーの伝熱面積の合計により、選任できるボイラー技士の資格の種類(特級、一級、二級)が区分されています。(ボイラー及び圧力容器安全規則第24条)また、ボイラーの自動制御の機能によっては、選任基準が緩和されております。(ボイラー及び圧力容器安全規則第24条第2項)
なお、令第6条第16号イからニまでに掲げるボイラー【Q6参照】については、ボイラー技士の他にボイラー取扱技能講習修了者の中からを選任することができます。
小型ボイラー、簡易ボイラーについては、選任の必要はありません。
ボイラー取扱作業主任者の選任については、所轄労働基準監督署への届出は不要ですが、性能検査の際、作業主任者が選任されていることを確認するようにしていますので、免許証(技能講習修了証)を提示していただくなどしております。
Q9.圧力容器は取扱作業主任者の選任はどうすればいいの?また、労働基準監督署への届出は必要なの?
第一種圧力容器作業主任者については、作業主任者を選任すべき作業及びその作業主任者に選任できる者の要件などが定められています。(ボイラー及び圧力容器安全規則第62条)
概要は次表のようになります。
令第6条第17号の作業のうち化学設備(令第15条第4号)に係る第一種圧力容器の取扱い作業 | 令第6条第17号の作業のうち 左記以外の第一種圧力容器の取扱い作業 |
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必要な資格(記載のいずれかの資格) | 化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習修了者 | 特級、一級、二級ボイラー技士 化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習修了者 普通第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習修了者 |
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-参考-
(労働安全衛生法施行令第6条)【作業主任者の選任が必要な作業等を規定】
17.第一種圧力容器(小型圧力容器及び次に掲げる容器を除く)の取扱い作業
イ 第1条第5号イに掲げる容器で、内容積が5立方メートル以下のもの。
ロ 第1条第5号ロからニに掲げる容器で、内容積が1立方メートル以下のもの。
電気事業法、高圧ガス保安法、ガス事業法の適用を受ける第一種圧力容器の取扱作業主任者については、特定第一種圧力容器作業主任者免許を受けた者でも可能です。(ボイラー及び圧力容器安全規則第119条に当該免許資格について定めています。)
化学設備に係る第一種圧力容器については、ボイラー及び圧力容器安全規則第119条第1項第2号又は第3号に掲げるもので、特定第一種圧力容器作業主任者免許を受けた者に限られています。
小型圧力容器、第二種圧力容器、簡易容器については、選任は不要です。
なお、所轄労働基準監督署への選任の届出についてはボイラーと同様に不要ですが、性能検査の際、取扱作業主任者が選任されていることを確認するようにしていますので、免許証(技能講習修了証)を提示していただくなどしております。
Q10.ボイラーや圧力容器の整備は誰でもできるの?
一定規模以上のボイラーの整備の業務及び第一種圧力容器の種類に応じて定められた規模以上の第一種圧力容器の整備業務については、ボイラー整備士でなくては整備できないと規定されています。(ボイラー及び圧力容器安全規則第35条、第70条)